排卵検査薬の選び方と使い方

針灸治療室ピア・針灸IN花屋敷の野上佳宏です。

 

今回は、「排卵検査薬」についてのお話です。

排卵検査薬とは、その名の通り、排卵のタイミングを知るための検査キットです。

様々なメーカーから発売されていますが、商品の選び方を間違えたり、使い方を間違えたりすると

せっかくの妊娠のチャンスを逃してしまうことになります。

そのあたりを簡単にご説明したいと思います。

 

排卵検査薬は「排卵検査」という名前ですが、排卵を感知して教えてくれるわけではありません。

不妊治療をされている方にとっては当たり前のことかもしれませんが、今まで知らなかった方は、

「いつ、何に、どう反応するのか?」を知るだけで、妊娠できる可能性がグッと増えるかもしれませんよ!

 

卵巣で卵胞を育ててその中にある卵子を排卵させるために、身体の中で様々な器官が働いています。

まず脳にある視床下部から、GnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)というホルモンが出ます。

GnRHは下垂体前葉に作用し、FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体形成ホルモン)を出す指示をします。

下垂体前葉から産生されたFSHは卵巣に作用し、卵胞をある程度の大きさまで育てる働きを行います。

卵胞がある程度育ってきたら、今度はLHが卵胞を成熟させる働きを担います。

いよいよ卵胞が排卵できる大きさまで育ってくると、視床下部から産生されるGnRHと、卵胞などが作る

エストロゲン(エストラジオール・E2)の働きによって、下垂体前葉から大量のLHが放出されます。

これがLHサージと呼ばれるもので、排卵検査薬はこのLHに反応するように作られています。

LHサージが起こると、ヒトでは24時間から36時間の間に排卵が起こります。

また、LHサージのピークから排卵までは、10時間から12時間といわれています。

 

卵子が排卵されると、卵管の先にある卵管采とよばれる部分が卵子を取り込みます。

卵管采の近くにある卵管の最も太い部分である卵管膨大部で精子と出会い、受精が行われます。

卵子が卵管に入ってきた時点で、精子は卵子の到着を待ち構えておく必要があります。

これが、排卵日当日にタイミングを取った時の妊娠率が低い理由です。

精子が卵管膨大部にたどり着く時間を考えると、タイミングを取るのは排卵の2日前がベストです。

(ちなみに精子の寿命は女性の体内に入ってから約72時間、卵子の寿命は排卵後約24時間です)

このことから、排卵検査薬は排卵予定日に使っても意味がないことがお分かりいただけると思います。

LHの反応を観察するために、ほとんどの排卵検査薬は次回の生理予定日の17日前から使用します。

女性のホルモン値は1日の時間帯によって若干左右しますので、毎日同じ時間に検査を行います。

 

現在販売されている多くの排卵検査薬は、LHサージのピーク後には反応しないようになっています。

排卵検査薬の種類や検査を行う時間にもよりますが、

陽性反応が出ると最短で10時間後、最長でも36時間以内に排卵が起こることが予測できます。

そのため、排卵検査薬に反応が出たら、できるだけ早くタイミングを取ることが必要です。

だからといって、いつでもタイミングを取ることができる方はいませんよね。。。

そこで大切なのが、排卵検査薬の「感度」です。

 

LH値の上昇にいち早く反応する検査薬を使うことで、タイミングを取りやすくなります。

反応が良い検査薬で朝に陽性反応が出たとすると、その夜にタイミングを取れば良いことになります。

しかし反応が鈍い検査薬を使うと、その夜にタイミングを取っても精子が卵管膨大部に

たどり着いた時には、すでに卵子が通過してしまったあと。。。 ということにもなりかねません。

排卵検査薬にはLHが20mIU/mlで反応するものもあれば、40mIU/mlで反応が出るものもあります。

この場合、20mIU/mlのものは「感度が良い」、40mIU/mlのものは「感度が悪い」ということになります。

感度が良いものを選ぶには、「尿中LHの検出感度」の数値が低いものがおすすめです。

 

では、まとめです。

せっかくのタイミングを逃さないためにも、排卵検査薬はできるだけ感度が良いものを選びましょう。

そして添付の説明書を良く読み、きっちりと決められた方法で検査を行うことが必要です。

何より大切なのは、タイミングを逃さず夫婦生活を行うことです。

妊娠の可能性がある期間は、できるだけ数多く夫婦生活を持つことが妊娠の秘訣です。

ぜひ、がんばってください!!




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